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で再現できることが確かめられた。今後、このような評価方法を、環境改善や望ましい漁場環境の保全・造成に役立てていくためには、さらに多くの事例についてモデルの検証を進めることが必要である。
2−3. 生態系の生物多様性の評価
科学的にはまだ不明の点が多く残されているとはいえ、生態系は多様な生物群集と環境との複雑なからみ合いの中で一つの複合体としてその機能を発揮する。環境再生・創造のための技術開発は、ともすれば生態系のうち人間に都合の良い特定の機能を強める方向に進みがちであり、その意味でたえずこのような観点から生態系変化の監視と評価を継続的に実施することが必要である。
生物種のレベルでの多様性の最も基本的な尺度の一つは種類数であり、そのほか必要に応じて、多様度指数や優占種への集中度・衡平性などが多様性の評価に用いられる12)。さらにこのような多様性の指標だけではその中味がよく分からないことから、種類数や個体数に加えて、汚染の指標種など特定の生物種の個体数や食性類型ごとの組成比など生態学的な要素を勘案しながら総合的に評価する指標(Index of Biotic Integrityなど)が提案され、米国の流水域などに適用されている13)。これは幾つかの評価項目について3段階の得点を与えそれを集計して総合点を出す方式のもので、評価の客観性などには問題が残る。最近、わが国でも河川域の魚類の生息環境評価にこの指標を適用する試みがなされているが14)、このような観点に立った本格的な沿岸環境評価はまだほとんど行われていない。
沿岸海域における生物多様性の長期的な変化についてもまだ調査データがほとんど得られていないのが実状である。湯浅・藤岡15)は最近、瀬戸内海の呉周辺の海岸における1960年からおよそ30年間にわたる浅海動物の種類数の変遷の様子を明らかにしている(Fig.5)。いずれの調査点でも種類数の減少が顕著であること、場所によりその減少が起こった時期が異なることなど大変興味深く、このような継続的な調査の積み上げの必要性をあらためて痛感させられる。

3. これからの課題

以上、生態系の幾つかの機能別に評価の問題を考えてきたが、実際にはさらにこれらをどのように総合化・複合化して生態系全体のき機能の評価に結びつけていくかが問題となる。たとえば干潟を例にとれば、その浄化機能を維持・強化していくためには、それを収穫の場(漁場)としての利用や環境管理とうまく融合させていくことが効果的である4)。また干潟の生態系が多様性をある程度維持することがその浄化機能や資源育成機能を発揮するための前提になっているのかもしれない。このような生態系の幾つかの機能の最適化や総合評価の方法は今後の検討課題の一つである。
また、沿岸生態系は一般に干潟・藻場・河口など幾つかのサブシステムから構成されている。したがって、どのようにサブシステムを統合して全体の評価につなげるか、より広域の視点からの生態系の機能を総合的に評価する方法が問題となる。たとえば、海を豊かにし魚を増やすための森づくりが全国的に展開されているが、このような森と海を結ぶ水系全体を視野に入れながら沿岸の生物生息場や生態系の診断・評価をするようなことが今後ますます強く求められるようになるであろう。米国のウェットランドを対象としたミテイゲーションでも、河川流域全体の広域環境保全に

 

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Fig. 5. Year to year changes in the number of species of coastal fauna collected at the see shore stations in and around Kure Bay, Hiroshima from 1960-1990. (From Yuasa and Fujioka, 1995)

 

 

 

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